活動記録

法人『コ・デザイン仙台合同会社』の活動を、2021年7月から2025年4月まで、4期に渡って行いました。また、清算期間終了後に個人事業を開始する予定です。
この間の活動を公開することが、同様の活動をする人たちの多少なりとも参考になることを考えて、記録していきます。

1. 法人『コ・デザイン仙台合同会社』の活動記録

1.1. 活動準備

活動内容を決定し、法人として活動するために、主に下記の準備を行った。

1.1.1. 活動内容決定
「ヴィジョン・ミッション・バリュー Vision・Mission・Value」の決定
Vision
個人やコミュニティの情報共有・情報発信が自由になされ、より素敵な人間関係が築かれる世界の実現
Mission
個人やコミュニティの情報共有・情報発信が自由に行えるようにサポートする
Value
ユーザーとともにつくる、ユーザーに信頼される

1.1.2. 法人設立
顧客からの信用を得るため、法人(合同会社)を設立 届出日:2021年7月1日
法人設立届出:①法務局、②税務署、③社会保険事務所、④宮城県、仙台市
銀行口座開設:法人口座(銀行)、資本金の振込

1.2. コミュニティーの支援活動

情報共有支援ツールの作成

1.2.1.㋐ WordPress用テーマ『Co-Design Community Theme』作成
株式会社ホロンクリエイトの松本匠充氏(両角研卒業・修了生)に委託して、町内会のようなコミュニティ活動に適したWordPress用の専用テーマを作成してもらった。
 Themeの特徴:提供サービス紹介*
このテーマをカスタマイズして、顧客の町内会等に提供し、情報共有活動をサポートする。

1.2.1.㋑ Webサイトの操作説明書の作成
コミュニティのメンバーが自分たちで情報を掲載できるようにするため、下記を準備した。
A. 操作説明書
B. 操作説明書を使用した、オンライン操作説明会
 オンライン操作説明会には、“Google Meet”を使用

コミュニティへの広報・周知

1.2.2.㋐ 法人Webサイト、リーフレットの作成
A. 法人Webサイト“コ・デザイン仙台合同会社 l https://co-design.site/” 作成
B. サービス内容説明用リーフレットの作成
 サービス内容説明チラシ*

1.2.2.㋑ 自治体・商工会議所等へのアプローチ
A. 仙台市役所へのアプローチ
 結果:事業会社には、町内会等の情報は提供できない
B. 商工会議所へのアプローチ
 結果:懇親会等で知り合った人を通じて、1件の町内会との契約成立

契約・導入・使用サポート

1.2.3.㋐ 契約
 町内会等の非営利組織が契約しやすいように、1年あたりの支払金額が少なくなる“サブスクリプション式”の契約方式として、毎年更新することとした。
1.2.3.㋑ 導入
A. カスタマイズ:『Co-Design Community Theme』の基本的な機能を説明し、希望を聞いてそれぞれの組織に合わせたカスタマイズを行った。
B. DNS/Webサーバー契約支援:Webサイト構築のためのサーバー等の準備内容を説明し、基本的にコミュニティ側で契約してもらった(代理契約の方法もある)。
C. Webサイト構築:サーバーにWordPressを導入し、『Co-Design Community Theme』を導入してカスタマイズを行った。
1.2.3.㋒ 使用サポート
A. 説明会実施(オンライン)
B. 導入後の追加希望・不具合部分への対応
C. 使用方法の追加説明の実施
D. サーバー等の契約更新等のサポート

法人の維持活動

1.2.4. ㋐ 会計処理
顧客への使用料・サポート代金の請求
1.2.4. ㋑ 会計・税務処理
法人会計報告と納税(国・自治体)

1.3. 結果

法人として取り組んだ4年間で、最終的に町内会の支援2件、非営利組織(学会、個人等)の支援2件を行うことができた。それらのコミュニティ支援は現在でも継続しているので、組織にとっては役に立っていると考えられる。
一方、さらに支援コミュニティを広げていくことについては、支援している町内会のメンバーの方から他町内会への紹介をしていただいたり、仙台市の町内会の情報共有支援についてのワークショップなどに参加させていただき、紹介させていただいたが、増えていくことはなかった。

1.4. 振返り

現代社会において、生活の関係する情報の共有・入手は重要である。一方、地域社会・コミュニティの活動は担い手の負担も多く、課題も多い。
支援が必要とされる対象で、デザインの技術を活用して支援ができないかと考え、法人を立ち上げて活動した。
結果について、気が付いたことをまとめてみたい。

1.4.1. サービスの内容は顧客の要求に応えられたのか?

A. サービス内容面

契約の段階で、可能なサービスの内容を説明しているので、大きな齟齬は無かったと思う。ただ、コミュニティ(町内会、学会の部会等)内でのメンバー間の連絡や情報の閲覧をコントロールしたいという希望は複数出ていたが、既成のCMSを利用したサービスとしては難しく、対応できなかった。
セキュリティやメンバー情報のメンテナンスという問題も関係してくるので、例えば“LINE”のような他のサービスと組み合わせるなどの工夫で解決していくことが必要ではないかと思う。
機能を絞ることは、サービスを展開していく際に、重要アポイントとなると思う(『これができます』・『これはできません』をはっきりさせる)。

B. コスト面

きわめて低いコスト(10.000~20,000円/年 但しWebサイトの設置・契約等の作業を除く)でサービスを提供し、契約期間中は継続して支払いいただくという考え方は、少なくとも契約いただいたコミュニティには受け入れられたと思う。

C. サービスの内容×コスト

ある程度の規模のコミュニティであれば、今回のコスト内容は受け入れてもらえる可能性は高いと考える。ただ、この低コストでのサービスの提供は、情報掲載作業はコミュニティメンバーが行うことを前提としている。
良質の情報をコミュニティに提供するには、情報の取材や情報の編集・加工といった作業が求められる。ボランティアによって支えられているコミュニティにとって、新たな作業の増加は喜ばしいものとはならないことが可能性が高いのではないか。次の項で、さらに説明する。

1.4.2. コミュニティメンバーにとっての希望・要求

町内会用のWebサイトを立ち上げ、長期にわたり運用いただいているコミュニティは下記の2つである。
 滝道町内会(仙台市青葉区)    https://takimichi.org/
 大和町五丁目町内会(仙台市若林区)https://yamatomachi5chome.net/

この二つの町内会に共通しているのは、Webサイトを担当している方の『町内会の情報を町内会メンバーにできるだけ共有したい』という思いである。
町内会で行われる行事の予定や行事の活動結果を、熱心にこまめに掲載なさっていることである。ちなみに滝道町内会のTopページの総訪問者:34,605人(2020/11~2025/06/17時点)、大和町五丁目町内会:19,217人(2022/06~2025/06/17時点)である。

一方、通常町内会の役員はボランティアであり様々なことに対応しなければならず忙しい。わざわざ、Webサイトへの情報掲載やメンテナンスという新しい仕事をしょい込むのには、強い目的意識が必要になる。

コミュニティの情報共有を支援するというサービスを提供してきて、4年の活動を通して理解したのが『わざわざ面倒をしょい込みたくない』というコミュニティメンバーの想いである。おそらく様々な課題があったとは思う。それでも、おそらくサービスが広がらない一番の原因ではないかと思う。
『Co-Design 使うひとたちとともにつくっていきます』と言いながら、コミュニティの中の誰とどのように作っていくのかという具体的な実態まで、理解できていなかったのだと思う。

1.4.3. 自治体(仙台市)の支援

1.4.3.㋐ 事業立ち上げの支援

何か一つ社会に貢献できる力・能力があったとしても、実際に社会の中に事業として存在させるのには様々な情報や能力が必要になる。事業を立ち上げる時に、自治体の事業立ち上げ支援の制度があるととても助かる。仙台市には『仙台市起業支援センター アシ☆スタ』があり、講習会や専門家による相談会が利用できる。私も準備時点から、利用させていただき、不安をだいぶ下げることができた。
また、事業立ち上げ後や法人解散についても相談することができた。
また、私の活動も紹介していただいた:開業者インタビュー
https://www.siip.city.sendai.jp/assista/interview/7687

1.4.3.㋑ 事業の支援

[1.2.2.㋑]でも触れたように、サービスを知ってもらうために町内会や連合町内会にコンタクトしようと考えたが、自治体は私的事業には協力できないようだ。それも理解できるが、ボランティアに近い形で事業を展開しようとする時には、超えにくい壁になる。
『あれば良いな』というレベルのアイデアでは、実際に社会の中に実現するのは難しい。様々な面で、人のつながりを豊かにしておくことが、事業を展開する上では必要だと思う。

2. 個人事業『コ・デザイン仙台』の活動

法人解散時に契約を継続している4件については、法人解散後も引き続き個人事業として支援していくことになっている。
今後の活動については、参考になる情報については本Webサイトにも掲載していきたい。

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